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答えを見てから問題を解く|『ずるい暗記術 偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法』佐藤大和著 を読みました

この本のノウハウは資格試験の合格を目指している人だけでなく、勉強や仕事でなかなか結果を出せない人、時間のないなかで勉強をしている人、記憶力をアップさせたい人など、

「答え」が存在するものを学んでいるすべての人に役に立つはずだ

P.14より

著者の経歴と概要

僕は現在資格試験の勉強をしています。

主に過去問を中心に勉強していくのがセオリーの資格なので、この本に興味を惹かれ読んでみました。

著者の佐藤大和さんはTBS「あさチャン! 」のコメンテーター、フジテレビ「リーガルハイ」「ゴーストライター」など一部監修・出演のほか、地方局のレギュラー出演など、数多くのメディアでも活躍しているマルチ弁護士です。

これだけ見ると筆者はエリートではなやかな道を歩んできたかのように思えますが、元は偏差値30の落ちこぼれヤンキーだったそうです。(この手の本にはありがちなストーリー)

それが勉強に目覚めた結果、独学で立命館法科大学院に合格後、1発で司法試験に合格という快挙をなしとげるにいたった著者独自の勉強法を本書で紹介してくれています。

最難関と言われる司法試験に合格した勉強法は、多くの人にとって参考になるものだと思います。

序章では著者の過去のエピソードが書かれているのですが、その部分はたった14ページに抑えられています。

長々と経歴やエピソードを書きがちな本が多いなか、この点は好感が持てます。

本のほうが詳しく書いてありますが、著者の略歴が知りたい方は公式サイトが参考になると思います。

ここからこの本に書かれている勉強・暗記の方法論について詳しくみていくことにします。

全体の主な内容は

  • 第1章:インプットについて
  • 第2章:アウトプットについて
  • 第3章:モチベーションについて
  • 第4章:習慣化について

となります。

第1章:「理解」せずに、ひたすら「答え」だけを見る

第1章はインプットについて書かれています。

本書の「はじめに」でこの勉強法の肝となる部分を教えてくれています。

私の勉強法は、

「参考書を読む→問題を解く→答えを確認する」

ではなく、

「答えを見る→問題を見る→参考書を読む」

です。

P.12より

その具体的方法を第1章で説明してくれています。

問題は解かずに答えだけを見る

著者はまずは問題は解く必要はなく、答えだけを暗記すれば良いと説きます。

なぜなら、問題を解こうとすると「できない」という壁が目の前に立ちふさがり、それが勉強へのやる気を削いでしまうからです。

しかし、問題集(特に過去問が有効!)には「答え」がのっています。

試験とは最終的には「答え」を答えるものなので、最初から「答え」を覚えていくのが最も効率的なのだという考えです。

人間は忘れる生き物

短い時間✕回数✕勉強量=記憶力

これこそ、記憶を定着させる絶対の公式です。

繰り返すことによって、忘れる量を上回る情報を頭に入れていけばよい

P.45より

確かにこの考えは理にかなっていると思います。

経験則からも何度も見たものは忘れないですもんね。

携帯の電話番号はなんの意味もない11桁の数字の羅列です。それでも繰り返し見ていれば覚えることができます。

勉強において繰り返すというのは本当に重要なことです。

そして、「答えだけを見る」という勉強法は何度も「繰り返す」のに適しているのだと思います。

短時間で多くの問題に触れることができますから。

記憶をうずまき状に広げていく

自分が覚えられる最小限の量を出発点にするのが肝心です。

P.51より

最小限とはつまり「答え」のことなのだと思います。

そして「答え」が頭に定着したら次は「問題」、さらに「解説」、「参考書」へと記憶の幅を広げてゆくべきだということなのでしょう。

僕は受験生時代に東進衛星予備校で安河内哲也先生の授業を受けていました。

その授業の中でも

勉強はスパイラル(うずまき)のように何度も繰り返して、すこしずつ広げていくのが良い

とおっしゃっていまいた。

安河内先生もベストセラーになった勉強法の本を出されています。

覚えたことを忘れないための7つの裏技

「裏技」というより正当な王道技も含まれている気もしますが、

  1. ノートはいっさいとらない
  2. 寝る直前をピークにして勉強する
  3. 起きたらすぐ昨日の続きをする
  4. 満足いく睡眠時間で眠る
  5. 瞑想する
  6. 1週間に1日、必ず午後をオフにする
  7. 自分の「長所」を暗記力に変換する

という7つの方法とそのやり方について解説してくれています。

今まであげた以外にも第一章では

  • 100%を目指さない
  • 最初は過去問だけ
  • やらないところを決める
  • 参考書はいきなり読まない

について書いてありました。

第2章:記憶の「思い出し」をゲーム化する

第2章はアウトプットについて書かれています。

この章では覚えたことをより定着させ、実践(試験)で使えるよう昇華させる方法を具体的に説明してくれています。

その中でも中心的役割をはたすのが、夜5分→朝5分の「記憶出し入れ術」だと思います。

夜5分→朝5分の「記憶出し入れ術」

私が実践した「答えを思い出す」ベストな方法をお教えしましょう。

その日やった勉強を夜寝る前の5分間に書き出す→それを翌日の朝5分間で思い出す、たったこれだけです。

P.93より

僕は復習が大事だとわかっていても、その日に勉強したことをその日の最後に復習するって今までやってませんでした。

翌日に復習しようとすると結構忘れている(か、そもそも覚えきれていない)ことが多くて復習だけで勉強時間の7~8割とか使ってました。

すると、覚えていない自分に落胆したり、新しいことに取り組めなくてやる気をなくしていくというのが僕の今までのパターンでした。

でも、当日なら結構思い出せるんですよこれが。

5分間では少し無理がありましたが、10~15分くらいでサササーっと復習できちゃうんですよね。

もう目からウロコでした。

本書ではさらに5分の復習をいかに続けていくかのスケジューリングも紹介してくれています。

この部分にはかなり具体的な記述が多いところを見ると、著者が練りに練って練り上げた方法なのだということがわかります。

多分、ここが本書のなかで一番自信があるところであり、かつ最も勧めたいことのひとつなのではないでしょうか。

司法試験では、覚えなくてはいけないことが膨大にあります。でも、私は遊ぶ時間も減らしたくはありませんでした。それならできるだけ覚える時間を短くしようとした結果、この方法に至ったのです。しかも、この方法を始めてから、成績が劇的にアップしました

P.99より

第2章はこの他にも

  • 暗記術の最大の目的
  • 自分の頭のなかに「知識の図書館」を作る
  • 1ページ1秒の記憶引き出し術
  • 誰かと話すことで整理化
  • 一人二役「自分プレゼン」
  • 日常生活の疑問と記憶を結びつける
  • 本と対話しながら疑問点を明らかにする
  • 散歩する
  • 試験本番は「思考力ゼロ」

などについて書かれていました。

単にアウトプットするだけでなく、

  • 解答のスピードアップを図る
  • 知識をより高度でより深くしていく

ための方法論などはやはり最難関の司法試験へ挑んだ著者ならではだと思います。そこまでしないと合格できない試験だったのでしょう。

スピードアップは試験を受ける人だれしも必要だとは思いますが、知識を深めるために専門雑誌を読むことなどは自分の受ける試験と相談して取り入れるか判断が必要かと思います。

第3章:モチベーションアップの方法、第4章:勉強の習慣化の方法

第3章と第4章は勉強の方法論ではなく、モチベーションの上げ方や習慣化について書かれています。

このブログ記事では軽くしか触れませんがたくさん面白いことが書いてありました。

勉強がなかなか続かないという人には、第3章と第4章を先に読んでから第1章を読むことをおすすめします。

P.14より

とのことですので、人によってはむしろ第3章と第4章の方が大事かもしれません。

「モテたい」をゴールにする

「いい大学に入りたい」「一流企業に就職したい」のその先に、「お金がほしい」「人気ものになりたい」「高級車に乗りたい」・・・・・・そんな根源的欲求はあるのではありませんか?

 これらは、総じて言えば、人やお金に「モテたい」という意識です。

 この「モテたい」を強く欲することによって、勉強への情熱がグッと高まります

 P.162より

 勉強とは1日や2日で終わるものでなく、そのほとんどが長期戦です。

それ故にモチベーションの維持・習慣化して継続する事が重要になります。

「あなたがその勉強をする意味はなんですか?もっと根源的な目的を意識して下さい。それが勉強を続ける原動力になります」と著者は言いたいのだと思います。

また、同じ項目中で「グリット」についても触れています。根源的な欲求が「グリット」のエンジンになるのだそうです。

「グリット」については書籍化されたのち、世界的にベストセラーになり、日本でも2016年に『GRIT やり抜く力』として発売されたので見かけた人も多いかもしれません。

ちなみにこのアンジェラ・ダックワース氏のTEDがこちら

この「グリット」に2015年発売の本書で触れているあたり、著者の造詣の深さがうかがえます。

この他にも第3章・第4章ではTODOリストの著者なりの作り方を具体的に説明してくれたり、小説や漫画をモチベーションアップにつなげる方法、アイドルソングの活用法など他の本ではあまり見かけないようなおもしろい内容が書かれていました。

『ずるい暗記術 偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法』を読んでみて

この本が一番役に立つのはなんらかの勉強中で過去問の使い方が分からない人だと思います。

この本を読んで、大学在学中に頭がいいと言われていた先輩が

過去問は読み物だよ

と言っていたことを思い出しました。

その先輩はもしかしたら頭が良かったのではなく、本書のようなとても効率的な勉強をしていただけなのかもしれません。

僕は前述したとおり大学入試の際に安河内哲也先生の講義を受講していました。

その結果、ほぼ100%安河内先生の講義のおかげでセンター試験の英語はとてもいい点数がとれました。本当に感謝しています。

なので当時は(今も?)完全なる安河内信者だったのですが、安河内先生はこうおっしゃっていました。

君たちは「あの先生のここが分かりにくい」、「あの先生はここがいいけどあそこがだめ」みたいに批評するよね。気持ちはわかるんだけど、でもね、その先生は少なくとも君たちよりその教科についてはできるから。何倍もできるから。だから、色々ごちゃごちゃ言う前にその先生の全てをマネしなさい。そうしたら点数伸びるから。批判する前にとりあえずマネしてみろ!

遠い昔なので細部は非常に曖昧ですが、こんな感じのことを言っていたと思います。

これって勉強法の本を読んでそのノウハウを学ぶ際にも同じことが言えのではないでしょうか。

この著者は法科大学院を経て司法試験を合格したという実績があります。

僕たちよりも「試験を乗り越える」というスキルにおいては何倍もの能力があるはずです。

だから、とりあえずマネしてみるってのも大事かなと思います。そして本書はマネしやすいように非常に具体的に書いてくれています。

 

Amazonでは「サーッと読めました」といったレビューも散見されましたが、僕はこの記事を書きながらもう一度熟読したら色々と発見がありました。

方法論が簡潔なゆえに読み流すことも可能な本書ですが、じっくり読めば色々と納得できたり学べたりする部分もあります。

興味を持たれた方は是非手にとってみてください。

以上、『答えを見てから問題を解く|『ずるい暗記術 偏差値30から司法試験に一発合格できた勉強法』佐藤大和著 を読みました』でした!