あなたのお母さんや奥さんは毎日のように家事に勤しんでいます。
ひとえに家事と言っても炊事・洗濯・掃除とその内容は多岐にわたり、かなり計画的に進めていかないと一日では終わりません。
もし、あなたの家がキレイに片付いていて、シャツにはパリっとアイロンがかかっていて、バラエティの富んだ食事が毎日でてきているとしたら、それは尋常じゃないプロ主婦の技だと思ってください。
普通じゃできません。
仮にすべてが上手く行っていなかったとしても、部屋がある程度片付いていて、洗濯物もたまっていなくて、ちゃんと食事が用意されていればそれだけでかなり努力されていることでしょう。
いきなり主夫業をすることに
僕は父の急病から実家に帰り、いきなり二人分の炊事・洗濯・掃除をすることになりました。
それまでは気楽な一人暮らしでしたので、食事は適当に外食やお弁当で済ませ、洗濯もある程度溜まってから週に1回から2回、掃除も一人暮らしの部屋なんて広さはたかが知れているのでクイックルワイパーであっという間に終わっていました。
それが実家に帰り、父の分も同時にこなすことになると一気に大きな負担となりました。
やってみてわかった母の偉大さでした。
炊事
血圧や糖尿に問題のある父の食事を用意しなければなりません。
今までの全く摂生のしていない不健康な食事では病状悪化まっしぐらなので、積極的に野菜を取り、かつ食べやすくある程度柔らかい食事をつくることが必要になりました。
洗濯
人間が倍になれば単純に洗濯物は倍かそれ以上になります。
週に3、4回は洗濯する必要がでてきました。
これ3人家族や4人家族だとそれこそ毎日洗濯しないと、あっというまに洗濯カゴがあふれかえってしまいます。考えるだけで恐ろしい。。。
掃除
8畳一間の一人暮らしの生活から実家に帰ることで、掃除範囲が一気に1戸建てへと広がりました。
毎日すべての場所を掃除することは到底無理になったので、曜日ごとに掃除する場所を決めて計画的にすすめていますが結構大変。ルンバほしい。
一番大変なのは炊事
炊事・洗濯・掃除の中で一番大変だと思ったのは炊事、つまり食事準備でした。
洗濯や掃除はかなりの部分がルーティン化できます。
1週間単位でやるべきことを決めるのが容易いので、習慣化できてしまえばあとはそれをこなしていけば良いだけです。
しかし食事の準備だけはそうはいかないのです。
1日3食のメニューを考える
毎回の食事のメニューを考えることはルーティン化できません。
冷蔵庫にある食材や今の旬な食材を考慮しながら、食べる人が今日は何が食べたいかを毎日考えるのです。
つまり、
- 用意できる材料をリストアップ
- 相手の食べたいものを推し量る
という作業を毎日しています。
これやってみたら分かるけどかなり大変です。特に相手の食べたいものを推察するのは本当に大変。
朝ごはんが終わったらもう昼ごはんのメニューを考え、昼ごはんが終わったら夜ごはんのメニューを考える。
一日中、いろんな作業をしながらご飯のことを考えてるんです。
仕事をしている時も、リラックスしている時もずーーーーっと頭の片隅には「明日のご飯どうしよう?」が居座り続けています。
スティーブ・ジョブズは毎日着るものを決めていて、余計な思考をしないようにしていたと言います。
ザッカーバーグやオバマ元大統領も同じく着るものを決めているそうです。
米オバマ大統領は、ほぼ毎日同じスーツを着ることで知られています。その理由を、彼は以下のように語ります。
「私は常にグレーか青色のスーツを着用している。こうすることで私が下さなければならない決断の数が減るんだ。何を食べるか、何を着るか決める余裕はないし、他に決断しなくてはならないことが山のようにあるからね(Vanity Fair)」
オバマ大統領はある論文を引用し、どれだけ単純な決断でも、その後の決断の精度を下げる要因になり得ると説明しました。
仕事以外の意思決定の回数を少なくしたいという考えを示し、「できるだけ決断の数を少なくしたい。朝食に何を食べるかとか、どんな服を着るかとかいう小さい決断は、エネルギーを消費する」と述べた。
ザッカーバーグ氏は、Apple創業者のスティーブ·ジョブズ氏やオバマ大統領をあげ、彼らも衣装を選ぶ際には同様の理論を持っていると指摘した。
彼らの言葉を借りると
毎日の食事メニュー決めはその都度エネルギーを消費し、その後の決断の精度を下げる
ということになります。
今日何食べたい?
だからこそあなたのお母さんや奥さんは「今日何食べたい?」とあなたに問いかけます。
どんなにレシピ本を読んでも、どんなにレシピサイトを見ても、さらに料理教室に通ってもいつかはメニューのバリエーションが無くなってしまいます。
悩みに悩んで、一生懸命努力してそれでももう食事のメニューがでてこない。
「今日何食べたい?」はそんな苦悩の末の叫びなのです。
ダメな答え
それに対して最もダメな答えは「何でもいいよ」です。
この「何でもいいよ」はかなり言いがちな返事ですし、この記事を書いている僕も自分が料理を準備する立場になるまでそう答えていました。
これは「簡単なもので構わないし食べれさえすれば何でもいいよ」という意味が裏に込められていて、自分としては相手を気づかっているつもりでいました。
でもその実は、食事メニューを決めるという大事な仕事を相手に丸投げし、自分は相手の気持ちも日々の家事の大変さも何も考えていないだけでした。
「何でもいいよ」を聞いた相手は、コイツなにも考えてないなと心の中で大きなため息をついていたに違いありません。
もし「何でもいいよ」と答えるなら、ふりかけご飯が出てきたとしても文句ひとつ言わずニコニコ食べる覚悟をもってそう言ってほしいものです。
それくらい料理する側からすると無責任な言葉に聞こえるものなのです。
良い答え
最低限の答え
「今日何食べたい?」と聞かれた場合は最低限何かのメニューを提示しましょう。
例えば唐揚げと答えてくれれば、冷蔵庫の中に鶏肉がなかったとしても、料理をする側は何となくボリュームのあるガッツリしたものが食べたいんだなと判断することができます。
魚が食べたいと答えてくれれば、和食寄りのあっさりしたものが食べたいのかな?と考えることができます。
それだけでメニュー決めの大きなヒントになってくれるのです。
この際、提示したそのもののメニューが出てこなかったとしても文句は言わないでください。
あなたの好みと用意できる食材を総合的に判断して出てきたものがそれなのです。
ありがたい答え
今まで食べたメニューの中で美味しかったものを素直に答えてください。
特に作った側が自信作だと宣言したり、自信ありそうに出してきたものがベストです。
料理を作る側は毎日食べる人の気持ちを考えながら作っているわけですから、たまにはそれくらいの配慮をしてくれてもバチは当たりません。
できれば日頃から美味しかったメニューや相手の得意料理をメモするなどしてすぐ答えられる準備をお願いしたいです。
最高の答え
外食
相手への気づかいを
複数人でひとつ屋根の下に生活するには、自分だけしたいことをしていては成り立ちません。
僕は長い間一人暮らしを経験していたので、親といえどいきなり別の人と生活するのはかなり窮屈な思いをしました。
掃除をサボることも、吉野家で食事を済ますことも簡単にはできなくなりました。
だからこそお互いが思いやって相手の窮屈さを少しでも解消してあげる必要があります。
「何食べたい?」は短いフレーズですが、きっと簡単に出た言葉ではありません。
どうかその質問をないがしろにしないで、誠実に答えてあげてください。
それで相手は大いに救われます。